まいひーろー


「つか、みんな蕾にベタベタしすぎ」


「えー、いつも茜達独り占めしてるんだから、今ぐらいいいでしょー」


「そうそう!」


「つか、そんなベタベタしてるとこ太陽に見られたら絶対泣くよ。
『俺だって触りたいのに!』って。」


すでに衣装の測定も終わって、椅子で座っている茜ちゃんがそう言うと、みんなはアハハと笑い声を漏らす。


「つか、太陽本当ベッタベタだよね。」

「ほんとほんと!
それでうちらも蕾ちゃんと話したかったけど、機会なかったし。」


「ほんと、蕾ちゃんと話したいから衣裳係したようなもんだよねぇ。」


………え?


「…あの、なんで私が役をやるって知ってたんですか?」

もしかしたら、大道具になってたかもしれないのに。
……というか、なりたかったのだけど。


「そりゃあ、太陽が王子役の時点でみんな解ってたよ。」


「てか、あんなにベタベタ前でいちゃつかれて白雪役が茜っていうのはないでしょ。」


「こっちからごめんだよ。」


「…………」


いちゃつかれて、と言われて自然と顔が熱くなっていく。
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