まいひーろー


「………あのさ、」

「えっ?」


空はもう夕日も沈みかけて紫色になっている。
二つの影が、仲よさそうに歩いているのをただボーっと見ていたら。

声をかけられて見てみると、真剣なまなざしで太陽くんがこちらをみていた。


「手、つないでいい?」

「………へ?」


そんな真剣な顔をしているものだから、何なのかと身構えていたのに。
聞いてみれば、全く予想に反した言葉だった。

……だけど、あながち間違っていないかもしれない。
私にとっては、かなり重要なことだ。
手を、つなぐなんて。


「…………」

「…………」


ほほを赤らめ下を向く影と、その影を真剣に見つめるもう一人の影。
地面に向けられた視界に入ったそれは、より一層顔を熱くした。

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