まいひーろー
「えっと、ありがとう。
わざわざ、送ってくれて。」
「俺が送りたかっただけなんだから、いーの!」
駅が見えてきて、どちらからともなく、手が離される。
ちょっぴり空虚感を感じながらも、到着して私は太陽くんにお礼を込めて頭を下げる。
そしたら、笑みを浮かべてそう言った後に、ガシガシと私の頭をなでられる。
「……ん?どうかした?」
おじぎをした格好で固まる私に、太陽くんは不思議そうに言う。
「な、なんでもないよっ。」
顔が赤くなったのを隠すため、なんて言えない。
「でも、今日は楽しかったなー。
また集まろうね。」
「うん、またみんなで話したいな。」
とくに、こうやって放課後に友達と集まっておしゃべり、なんて初めてだったから。
帰らなくてはいけないとわかっていても、ずっと話していたいと思った。
「…………」
「…………?」
すると、突然黙り込む太陽くん。
「…………」
「…………」
真剣なまなざしで、こちらを見つめる太陽くん。
その間にも、通り過ぎていく人の視線を感じる。