まいひーろー
「あー如月君、腕上げてくれない?
……おーい。」
「聞いてるー?って寝てんの!?」
一方で、如月君もまたメジャーで採寸中。
……太陽くんと間逆の光景だ。
「うわっ茜すんごいっ!
めっちゃ悪役じゃんー」
「……や、それ全然褒め言葉じゃないでしょ。」
そしてまた視線を変えると、魔女の衣装に身を包んだ茜ちゃんがドアの近くに立っている。
その近くで、数人の女の子に囲まれていた。
マントの下は、黒のワンピース(これは衣裳係の子の私服らしい)で、頭の上には大きな黒のとんがり帽子がのっかっている。
さらに真っ赤な口紅をつけて目元もお化粧をしているらしく、すごく色っぽく見える。
「………」
実はこの時間帯は、いつもとっても楽しみしている。
教室内は常に人の声で溢れているし、雰囲気が楽しいし。
そして、そんなみんなを見ていることが楽しい。
正直人の観察をするのはあまり良い趣味ではないと思っていても、一人でいるときは周りに目が行ってしまっていた。
「ちょっと太陽!メジャーから待ってるから待って待って!」
「ん?……わ、ちょっ……!」
「へっ?」