まいひーろー



「………」


「………」



カリカリカリ。


テスト一週間前から、解放時間が長くなった図書室の中で二人のペンの音だけが響く。


あれからどれだけたったんだろう。
いつの間にか、太陽くんも勉強を始めてるみたいだけど…。


そう思いふと時計を見たらあれから四十分が経過していた。



結構、時間立ってるな…。


そう思っていたら。


「うぅ………あぁあぁぁ」



また恒例のうなり声が。
そして、次に出てくる言葉は決まってー…



「蕾ぃーここわかんないんだけど……」



いつもなら、ここで「どこ?」と聞くのだけど、



………まだ、私は怒ってるんだから。



もうすでに怒りから意地へと変わっているのに気付かない私は、つんと太陽くんの方を見ようとしない。


すると……
< 177 / 184 >

この作品をシェア

pagetop