まいひーろー
「………っ、」
ゆっくりと、手の甲が私の頬をなる。
突然の太陽くんの悪戯への戸惑いと緊張と、謎の動悸でプルプルと体が震える。
そして、
「あんまり放っておかれたら、俺何するかわかんないよ?」
いつもより幾分低い声で、静かにそうささやいた言葉が甘さを含んで私の鼓膜を震わせた。
すでにペンが止まっているのにも気づかない私に、
するりと手が離れ、ほっとしたのもつかの間。
「!!」
その指先が、唇へと宛がわれる。
びっくりして、思わず太陽くんの方へと振り向くと。
「やぁーっとこっち向いた。」
机の上で、左腕に頭を載せ見上げる太陽くんが妖艶に微笑んでこちらを見ていて。
「もうすこしで……」
心臓の音がうるさすぎてなのか、太陽くんのその声が小さすぎたのか。
その先の言葉は聞き取れなかった。