まいひーろー
「私、コーヒー好きなの。だから……」
相沢君の手にある、クッキーにまぎれた缶コーヒー。
顔が引きつっていたし明らかに、苦手なんだと思ってそうは言ってみたけれど……
拒否されるんじゃないかって、どうしようもない不安が突然襲う。
「………ほんとに、嫌いじゃないの?」
「………」
コクコク、と首を縦に振れば、難しい顔がとたんに緩む。
「………蕾は優しーね。」
癖なのか、ワシャワシャとなでられ慌てふためく私の上でアハハ、と笑い声が聞こえた。
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「………美味しい?」
「………」
もう7回目の質問に、私は頷き返す。
「ほんとにー?」
「………」
コクリ、とさっきからずっとこんな感じだ。
痺れを切らして、相沢君が納得するようにと私の口にはすでにストローがくわえてあってチョビチョビコーヒーを飲んでいた。
………すると。
「ん。」
………ん?