まいひーろー
「あ、茜ちゃん……」
「ん?………あ、そっか。
蕾は聖と会ったのはじめてか。」
名前を呼びかけると、それだけでわかったのか説明してくれた。
「如月聖-キサラギヒジリ-。
まぁ、あのとおり万年遅刻野郎。
だから2年にして留年候補に挙がってるバカなんだよね。」
………あ、茜ちゃん…。
仮にも他人に向かってなのに、散々な物言いにこっちが心配になってくる。
「ちなみに太陽と私は小学校からの腐れ縁で、聖は高校入ってから。
まぁ、そんなん関係ないくらいには仲いいんだけど。」
そういって笑って見せた茜ちゃんに、いいな、なんて思ってしまう私は贅沢なのだろうか。
前までは、友達という関係すら雲の上の存在だったのに。
今は、茜ちゃんと仲良くなりたい、知り合ったすべてのひとと仲良くなりたいって思うのに。
それでも、口下手で引っ込み思案な私は無意識に人を避けてしまう。
「………ん?どうかした?」
「あ、ううん……!なんでもない。」
いつの間にかボーっとしていた私を覗き込む茜ちゃんに、首を横に振る。
「それより、お腹すかない?」
「あ、そういえば……」
空腹感を感じて、私は机の横にかけてあったカバンからお弁当を取り出す。