まいひーろー

そして、あらためてこの状況を見てみる。
どうして相沢君と如月君が前に立って問題を解いているかと言うと、理由は明解。


如月君は、居眠り。
…相沢君は、早弁ならぬ遅弁。


昼休みに騒ぎすぎたせいで、パンが残ってしまったので授業中なのにもかかわらず食べていたら、案の定先生に見つかったというわけだ。
そして、この問題が解けたらマイナス点は免除してやろうということで、渋々前に出た相沢君と如月君。


………だけど先生、これ二人とも明らかに無理なんじゃないですか?
なんて、とても失礼だとわかっていても考えてしまう。

疑問文の内容とは、
相沢君はなぜ遅弁を、如月君はなぜ居眠りをしていたのか理由を英文30語以上で答えよ、というものだった。


………が、驚くべきことに。


「よし、如月君は座っていいわ。」


「さっすが聖~。」


さして難しくもないようにスラスラと書き進めていきものの数秒で終わらせてしまった。
席に着く如月君に茜ちゃんはパンッと肩をたたく。

「やっぱ聖はこんなの簡単だよな~」
「如月君さすが!!」



……………え、え、え?

周りは至極同然とでも言うように、賞賛の声が漏れたのだが、イマイチ状況が分からない。


トントン、


「あ、茜ちゃん。
如月君て英語話せるの?」


「え?
……あぁ、そいえば蕾は知らないのか。
聖ってばああ見えてわりと勉強できんだよ。」

「えっ」

思わず漏らしてしまった声に茜ちゃんは人って見た目によらないよね~まぁ、理系限定だけど。とケタケタ笑う。
そして、もう一人に視線を向けて。



「見た目がすべての奴もいるけどね。」


…………。


あ、茜ちゃん……
そんな露骨に相沢君を見なくても……

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