まいひーろー
「何なのこの社交辞令的な拍手!?」
「あーもうはいはい。わかってっから。わかってますから。」
「っつーか、太陽が歌ったら後が歌いづれぇんだよ!」
「じゃあ、みんなに人気の聖が歌ったらどうなんですかー。」
「あ、ほんとだ、聖ーなんか歌ってよー」
太陽君の呟いた言葉にみんなの視線は一気に私の隣の如月君に。
ちなみに、さっきまで呑気に肩で寝ていた如月君は、これ以上は限界(恥ずかしくて。)という私に茜ちゃんが無理やり引きはがしてくれた。
………それでも寝ていられるっていうのは逆にすごいと感心してしまったけれど。
「あー…?何………?」
さすがの如月君の周りから言われてのそりと起き上がる。
多分、ついさっきまで私の肩で寝ていたことなんて露ほども気付いていないだろう。
そんなわけで、今度は如月君が前に押しやられる中、相沢君はさっきまで如月君が座っていたところにドカリと腰を下ろした。
「あー久しぶりに熱唱してノド痛い……ジュース……」
「あっ………」
「ん?」
茜ちゃんの前から取ったコップの中身は、すでに、カラ。
「…………茜……」
「まぁまぁ、いいじゃんいいじゃん。
二人で取ってこれば。蕾も、途中から来たからドリンク入れてきてないでしょ?」
はい、と空っぽのコップを渡される。
「………へっ?」
「いってらっさーい」
気付いた時には、ヒラヒラと手を振る茜ちゃんが視界に入っていて。
手を誰かにつながれている感触を感じた時にはすでにガタンとドアの閉まる音が耳に入った。