まいひーろー
「………ねぇ、」
「えっ?」
私の右手にはウーロン茶、相沢君の左手にはオレンジジュース。
そして空いた手はお互いの手。
「俺のこと、名前で呼んでよ。」
「へっ……」
相変わらず、私の方が歩幅のせいか、相沢君の顔は見えない。
……隣で歩いていても見上げないといけないけれど。
「な、なんで……」
だんだんと顔が熱くなるのを感じる。
と、とりあえず顔を冷やすためにウーロン茶を一口飲む。
……なんだか、お茶をストローで飲むのって、変な感じ…。
一瞬で思考が変な所へ行ったのを、相沢君の声でまた引き戻される。
「だーって、ずるいじゃん。茜のことは下の名前で呼ぶのに、俺は相沢君、って。」
「そ、それは女の子でっ…」
「男女区別反対ー。」
拗ねたように言う相沢君にどうしようかと視線をさまよわせる。
………と。
あれ?
よく凝らして見ると、相沢君の耳が赤い。
慌てて一歩前の相沢君の隣に言って、見上げてみると。
「………真っ赤。」
「ちょ、蕾!」
照れた様子の相沢君に、自然と私はクスクスと笑いを漏らしていた。