まいひーろー
「楽しみにしててよ?
コイツ借り物競走、神的にすごいから。」
思いだしただけで笑えるとケタケタ笑う茜ちゃん。
一体なにが面白いんだろうと思っていると、丁寧にも説明してくれた。
「中学の話だけど、1年の時は、"食べ物"を持って来いって書いてあって"パン"ってあだ名の学年一太ったヤツ連れてきて、
2年の時は"カツラ"って書いてあって、カツラつけてるって有名な怖い先生連れてきて、
3年の時なんか、"学校のマドンナ"を連れてこいっつって、太陽につれてこられた子全校生徒の前で告白したかんね。」
「ゆっとっけど、最後の子は周りがあの子っつーから連れてきたんだぞ!!」
「まさか、学校一美人な子が自分のことが好きだなんて誰も思わないしねー。
でも、顔で見分けのつかないアンタが悪い。」
「………え?」
思わず漏らした声に茜ちゃんは呆れ混じりに
「コイツ、あの子が可愛いとかあの子はブスだとかわかんないだって。」
………ぜ、全体的にすごい……
「…………」
ジ、と太陽くんを見ていた私を勘違いしたのか、
「あ、蕾は可愛いって思うよ!!!」
「普通に口説くな。」
ゴッと鈍い音と共に、倒れこむ太陽くん。
………相沢君には悪いけど、なんだか平和だなぁ…なんてしみじみと思ってしまった。
「………ところで。」