まいひーろー



...



職員室で一通りの説明を受けて、四時間目のチャイムが鳴り響く廊下を歩いていた。
時折忙しく走る生徒が目にうつる。



「白石は高明-コウメイ-高校から来たんだってな?」


「………はい。」


「大分遠いところからきたんだな。
心細いかも知れんけど、うちのクラスはそんなん吹っ飛ぶぐらいうるさいからなー。」



アハハと笑いを交えて話すのは、今日から私の担任になるらしい、丸井先生。
20代と思われる若い先生は下はジャージ上はTシャツといった簡素な服装といい、話し方や雰囲気といい、なんだか親しみやすそうな印象を与える先生だった。


そのことに、ひそかに安堵する。


『白石さん、最近イジメのことが職員会議であがってるんだけどね……』


『困るのよ、そういう問題を出されると、私の評価にもかかわるから…』



聞くだけでも嫌悪感の滲みでる妙に甲高い声を無理やり頭から追い出す。




「ちょっと待ってな。」


そういって、1-Bと掲げられた教室に入っていく先生を見送って、ひっそりため息をつく。


ドアをはさんだ廊下でさえもギャハハ、と騒がしい笑い声が届く。
それを丸井先生が静めようと声を荒げるのを耳にしながら、自分の身体が震えていることに気付いた。
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