まいひーろー
わぁぁ!!と、ピストルが鳴った瞬間いっそうグランドが騒がしくなる。
私の視界の中心にいるのは、黄色軍団の最前列にいる、陽光が反射してまぶしい金髪。
「………あ、Aブロックは3年が勝ったみたい。」
茜ちゃんの声に視線を動かすと、ワーと歓喜の声を上げている3年生。
ハチマキが赤なのでA組らしい。一方で負けた方は2年生で色は緑だからC組。
そして次々と勝負が決まる中、今だ勝負の付かないところが一ヶ所。
「ありゃりゃ。
やっぱ粘ってるなー。」
「え?」
「うちんとこの相手。
うちのクラスは体育会系多いから優勝候補って言われてるんだけど、もう一つの候補が3-Dって言われてるんだ。」
そう茜ちゃんが言っている間にも、続いている勝負に釘づけになっていると、不意にとんでもない言葉が耳に入った。
「………蕾、さっきから太陽しか見てなくない?」
「えっ!?」
あはは、キョドってる。
そう言って私の反応に面白そうにする茜ちゃん。
だけど、会話が終わった後も、私の頭の中は戸惑いでいっぱいで。
試合が終わって、「あ、あたしらんとこ勝った。」そう呟くのを聞いて、次の競技に移っても、
私の視界の中心は輝く金髪だった。