まいひーろー


相沢君という名前を聞いたとたん、ドクンと心臓が躍った。
………けれど、私は気付かずにグランドの状況を想像しながら考える。


相沢君かぁ………
茜ちゃんがあれだけ言ってたから、きっとすごいものもってくるんだろうなぁ……


『相沢太陽の動きに周りも一斉に動き始めたー。
さぁ、各選手何を持ってくるのかかなり期待できます!!』


その実況どうり、ときたま前に借り物競走の選手らしき人が紙を片手に
「今年もここの借り物競走はえげつないな……」
「こんなのできるわけねぇだろ!!」
なんて悲壮な顔してブツブツと呟きながら忙しそうに走り抜けていく。


『ちなみに、お題は持ってくるだけではOKは出ません!
"持ってきて何かをする"というのが、この借り物競走の特殊ルールとなっています。』


「そういやさぁ、去年お題で"好きな異性を連れてきて告白する"を引き当てた先輩いたよな。」


「あーいたいた。
つか、聞いたんだけど借り物競走で恋愛面の紙は毎年出てるらしいぜ?」


「うわー俺ぜってぇやだわー」


「でもかなり成功率高いらしいし、ジンクスにもなってるらしいから女子からかなり支持されてるみたいだぜ?」


「たしかに、全校生徒の前で告白とかされたら振る方もある意味勇気いるよなー。」




三年らしき人たちが通りざまに話していたことを頭の中でリピートする。
告白………とかする人って多いんだ………。

借り物競走のときに女子の競争率あんなに高かったのってそれが理由かぁ……。



そんなことを考えていると、早くも一人目が審査員にお題のものを連れてきたらしい。


『おぉーっと。
一人目は現在暫定10位の3-A、学園のマドンナだぁああ!
なんと、連れてきた"モノ"は暫定1位、1-Bの相沢選手です!!!』



………えっ?

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