まいひーろー
「…………」
それに気付いた途端、恐怖心に駆られる。
―――狭い教室、
―――薄暗い空間、
―――そこに潜む悪魔。
―――卑劣な笑い声、
―――止むことのない罵声、
―――遠慮の欠片もない暴力。
あぁ、完全に忘れられる日なんてないんだ。
もう―――
「………ら石?白石?」
「ッ、」
突如頭の中に割り入ってきた声に、頭を上げる。
するとドア越しに丸井先生がチョイチョイと手招きをしているのが見えた。
…………でも。
恐怖心は今や心をすべて覆い尽くしていて、足はおろか全身が強張って動けない。
どうしよう、どうしよう。
そう思っていた時のことだった。