まいひーろー
いまいち状況が読み込めなくて。
心の中でリピートするも、いまだかつて縁遠いと思っていた言葉でなかなか飲み込めない。
キ、キスってあの………キスだよね?
え、で、でも相沢くんみたいな人が、私を選ぶわけないし……。
第一、それならさっき告白された美人のマドンナって呼ばれている人呼ぶだろうし、私じゃなくても茜ちゃんがいるし。
つらつらと考えごとをしていると、急に腕を引かれてその腕の中に飛び込む。
ヒューーーー!!
キャァアアアア!!
いけーー太陽ーーー!!
ちゃかす男子もいれば、悲鳴を上げる女子もいれば、相沢くんをおだてる人たちもおれば。
いまや借り物競走そっちのけ、グランドは最高位までにヒートアップしていた。
『もし嫌だったら、殴って。』
………あぁ、このことか。
腰にまわされた腕にビクンと一つ身体を揺らせれば、眉をへの字に曲げる相沢くん。
それでも、確実に顔は近付いてきている。
「……………」
そのときの私はと言えば。
相沢くんって、まつ毛意外と長いな。
とか、
目を伏せるしぐさが意外と色っぽいな、なんて
頭がこんがらがった私はまったく関係のないことを考えていた。