まいひーろー
「あっ相沢君っ……!」
いくらなんでも、これはちょっと嫌とかそういう問題ではなく、ムリだ。
キスなんて下こともないし、ましてやこんな全校生徒の目で、女子のアイドル的な存在と、そんな借り物競争で出来るわけがない。
「や、やっぱり他の人を…」
「蕾じゃなきゃヤダ。」
だけど、これをしなかったらクラスのみんなが頑張っている優勝も出来なくなる。
ど、どうしよう………!
もう涙が出そうなくらい窮地に立たされた私。
どうにもできないけれど、必死に名前を呼ぶ。
「相沢くっ……太陽くん…・・・!」
もうすでにと息がかかりそうなくらいに近くにあった、キレイな顔を極力見ないように、声を絞り出す。
それは小さくて、自分でも聞き取りにくかったが、ピクリと相沢君の身体が止まった。
…………そして。
突然相沢君の顔が、離れた。