まいひーろー
□波乱の10月
タチの悪いド天然
「死ね。」
「………なんっ「黙れ。」
「………」
かわいそうなまでに茜ちゃんに罵声を受けているのは、一時は吐息がかかるほどにまで近かった、相沢くん。
「あんた何しようとしたかわかってる?
私の蕾に手ぇだそうとしてんだよ?ねぇ?」
傍観者である私ですら、茜ちゃんの声だけで怖いと思ってしまうのに、
目の前で、しかもその標的となっている相沢くんはどれほど怖いのか。
ちなみに、
体育祭は1-Bの見事なまでの点差で優勝を飾った。
最後のクラス別対抗リレーで女子男子ともに1位をとったからだ。
そして、土日をはさんで10月に入った登校日。
教室に来て見れば、すでに一触即発の雰囲気だった。
そして、タイミングが計れずに教室の外から覗き見ているこの状況。
茜ちゃんの言っているのは借り物競走のことだ。
あの時私は、嫌悪感はなかったものの男の人と唇を合わせるという行為がどうしてもできず、あのまま太陽くんを平手打ちしてしまうところだった。
が、その前になんと茜ちゃんが出てきて、相沢くんの頬にキスをし、なんとかそれでokをもらったのだが。
………その場にいた中で唯一私だけがみたであろう茜ちゃんの顔はもはや般若だった。
しかも、ok判定をもらった後見事な拳で相沢君の頬がクリーンヒットしたのだが。