まいひーろー


"おいで"


金髪の、まぶしい笑顔に見惚れていた私に、そう言われ、勇気付けられた私は教卓の前に立つ。


「……白石蕾…です。
よろしくお願いします……。」


緊張で汗ばむ手を握って、声を絞りだす。
そんな控え目な紹介に、教室は拍手で埋まる。



「ちょ、俺んときは拍手無しかよ!!」

「あーはいはい。
ハジメマシテ太陽クン。」

「超棒読み!!」


嘆くように言う相沢君にクラスの男子は軽くあしらう。
それにあはは、と笑いに包まれる教室。


人気者なんだなぁ………



「白石の席は、あそこの席な。
ちなみに隣の奴はムシしてやっていいから。」


「それ俺んこと!?」


「お、太陽。お前あそこの席だったのか。わからなかったなぁ。」


「うっわ。言い方がわざと過ぎる。」


俺マジでヘコんだ。どうしてくれんのマルー。


とわざとらしく肩を落とす相沢君にポジティブだけが取り得のお前が何言ってんだ。と笑いながらたたく丸井先生。

どうやら、マルとは丸井先生のあだ名らしい。



前の陰湿なクラスの雰囲気とまるで真逆な雰囲気の教室に蕾は無意識に、安心の含んだため息を漏らした。




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