まいひーろー
「あたし森田茜-モリタ アカネ-。」
「えっ?」
「いっとっけど!!
俺はマルより背が高い!!」
「それがなんだ。」
視線を前に向ければ未だにワーワーと騒がしい相沢君と丸井先生。
どうしようかとも思ったが、とりあえず丸井先生の指定した席に腰を下ろすと、突然声が聞こえて反射的に顔を上げる。
顔を上げるとそこには、気の強そうな、ショートで赤みがかった茶髪の女の子がこちらを向いて笑っていた。
「蕾、だったよね?
よかったね。うちのクラス、騒がしいけど良いやつ多いから。
ま、よく周りのクラスから"うっさい!"って苦情来るんだけど。」
どんだけうるさいって話だよね。
と人懐っこく笑いかけてくる女の子に、
「そ……そうなんだ……。」
気のきいた返事も出せない自分に自己嫌悪する。
昔から、そう。
極度の人見知りと、もともと静かな方だった私はいつも一人。
『蕾って、ツマラナイ。』
それは、すでに聞きなれてしまった言葉だった。
「だから、あんまり緊張しなくていいかんね。」
「ありがとう………」