完◆ ぐだぐだ

「…はあ」

ひっきりなしに鳴る着信音がリビングに響く。

「宗!!うるさいって」と、迷惑そうに母親が怒鳴る。



最初は俺だって…違った。

メールさえすればこっそり夜に近所の公園で会うこともできたし、

思い出を写メに残せるなんて、携帯電話は素晴らしいツールだと崇めた。


ケンカをした後の仲直りにはメールは持って来いで、目を見ていえない事も文字でなら素直に言えた。

それに着信音を陽菜だけ変えたり、着信画像を陽菜専用にしたり。

メールの返信の早さが好きな気持ちの証だと思った。

そう信じていたから、携帯電話はいつもポケットに入れていた。


――でも間違いなのかもしれない。




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