完◆ ぐだぐだ

付き合って一年になるが、手も繋がないしキスもしない、もちろん服を脱ぐような行為もしない。

ただただ友達と遊ぶように、名目が“デート”なだけで何も恋人らしいことはしない。



――笑い疲れて、少し沈黙。

同じお布団に並んで、天井を見つめる。



「うわっ、隣の部屋最中だぜ」
「うっそ、ありえなーい」

しんとした部屋には甘ったるい声が時折聞こえる。

それをこちらの部屋が作る予定はない。


「野生だなぁ」

「私らは清いお付き合いだもんね」


意味ありげに口角を上げる彼氏は、他の男子とは違う。


彼氏が彼で良かったと明菜は天井から、愛しい人へと目線を落とした。


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