完◆ ぐだぐだ
「いえ。私も好きです」
こちらを見る彼女は。
秘書課の癖に、飾り気がない。
染めてない黒髪、ファンデーションと眉、あとマスカラくらいの化粧。
ネイルも磨いてあるだけ。
そう、最低限の大人の身嗜み。
素朴さが、中学生を思わせるんだ―――
驚いた。
ひょっとしたら遅い青春、も、
あるのかもしれない。
胸がときめくうちは青春時代だ、と言っていいよな?
君と過ごすなら年寄りになっても、
俺は“青春”を過ごすんだろう。
今日も俺は変わらずエリートサラリーマンの道を歩く。