契約恋愛
「真紘君かわいそう。美鈴が自分のことだけ言って逃げるから~」
「だってぇ……泣きそうだったんだもん」
思い出して目をうるうるさせると、凛ちゃんが慌てて謝ってくれた。
「ごめん、ごめん。嘘!でもさ、何で言ってこないんだろうね…」
「うん。後から連絡でもしてくれたら良かったのに」
「気まずかったんじゃない?もしくは、美鈴ちゃんの話の後じゃ言えない話か」
陸君がコーヒーを啜りながら、そう言う。
気まずい?真紘がそんなこと思うかな?
いつも明るくて楽しい真紘に、気まずいなんてないと思う。
あと私の後じゃ言えない話も、ないと思う。
「それは、ないよ~」
「いや、分からないよ?そうかもしれないし。でも、まぁ一ヶ月経っちゃってるしな~…
とにかく次の恋!だよ!ね、美鈴!」
「…うん」
「あ、ちょっと凛!また美鈴ちゃんが”うん”しか言わなくなっちゃっただろう?」
「え?あ、ごめん…」