契約恋愛
「ちょっ…智紘く―――」
「陸、凛。俺、帰るわ。美鈴借りてくけどいい?」
『どうぞ、どうぞ』
両手を出してくいくいと私を押す真似をする、二人。
え、ちょっと…
「じゃあ遠慮なく。行こう、美鈴」
「え、あ、あぁー」
引っ張られて行く私と、それをにこやかに見てる陸君と凛ちゃん。
「さー美鈴ちゃん。どこ行こうか」
カフェを出た瞬間振り向いて、ニコッと笑う智紘君。
だめだ、その笑顔見ると真紘のこと思い出しちゃうよー!
「ど、何処にも行かない!」
「何で~いいじゃん!どっか行こうよっ!」
「行かない!!」
今私はそれどころじゃないの!
まだ真紘のこと忘れてないのに、智紘君と遊ぶなんて出来ないよ!