契約恋愛
「待って、美鈴!」
「待ちません!もー帰って」
「そんな冷たいこと言うなよ~」
甘い声を出して、私に抱きつく拓。
「ちょ、やめてよ~」
「……美鈴さ、誰かと付き合ってる?」
急に真面目に聞いてくる拓に、ドキッとした。
何、急に…
「ねぇ、どうなの?」
「どうって、まぁ…彼氏はいるけど」
「え、いつから!?」
バッと体を離して、顔を覗きこんでくる。
「今日から」
「まじかよ…」
唇に指をあてて、床を見ている拓。
これは何かを考えているときにやる癖だ。