契約恋愛




「待って、美鈴!」



「待ちません!もー帰って」



「そんな冷たいこと言うなよ~」



甘い声を出して、私に抱きつく拓。



「ちょ、やめてよ~」



「……美鈴さ、誰かと付き合ってる?」



急に真面目に聞いてくる拓に、ドキッとした。



何、急に…



「ねぇ、どうなの?」



「どうって、まぁ…彼氏はいるけど」



「え、いつから!?」



バッと体を離して、顔を覗きこんでくる。



「今日から」



「まじかよ…」



唇に指をあてて、床を見ている拓。



これは何かを考えているときにやる癖だ。






< 45 / 81 >

この作品をシェア

pagetop