契約恋愛






「ごめん。そんなつもりはないの…ごめんなさい」



「俺は別にいいよ。気にしてない」



「智紘君……」



「じゃ、俺帰るから。ごめんな、押しかけちゃって」



「ううん」



首を横に振ると、智紘君が頭を撫でてくれた。



その手は温かくて、とても優しかった。



智紘君、ごめんね。



私はやっぱり、真紘のこと忘れられない。



だから、あなたとは別れて拓とも別れて、きちんと告白をする。



「バイバイ、智紘君」



「…バイバイ」



切なそうに手を振って、智紘君は帰っていった。



残されたのは、私と拓。


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