契約恋愛
「って、今更だよな。ごめん」
頭を下げて謝る拓を、私は抱きしめた。
「ありがとう、拓。ありがとう……でも、ごめんね。私は真紘が好きなの」
「真紘?あー智紘君のお兄ちゃんか……」
「うん。あとあの時の……」
「偽彼氏」
「うん」
あの時とは、2年前のこと。
真紘に初めて会って、契約をした次の日。
そう、私が復讐したのはこの男。
―――――菅原拓
「あの時は、ごめん。色々あって」
「うん。私もごめんね」
二人で見つめあって笑う。
2年前にこうなれたら良かったのにね。
そしたら、全て上手くいったと思う。
でももう遅いんだ。