契約恋愛





呆然と彼女を見ていると、私のほうは一度も見ず、真紘に近づいていった。



そして…―――



チュッ



彼女が真紘にキスをした。



「好きなの!真紘!付き合って!」



もちろんこれも、私ではなくて彼女が言った事。



「ちょ、何言って……」



「私真紘に本気なの!真紘が本気じゃなくても!だから、もう一回契約して!」



ハァハァと息を切らせながら言う彼女を、私は見つめた。



胸が痛い。



今この子、真紘にキスした。



私が言いたかったことも、先に言ってしまった。



私は……



「契約は出来ないよ」



そういって私をチラッと見る真紘。



「何で!?…もしかして、この女が原因?」


< 69 / 81 >

この作品をシェア

pagetop