契約恋愛
呆然と彼女を見ていると、私のほうは一度も見ず、真紘に近づいていった。
そして…―――
チュッ
彼女が真紘にキスをした。
「好きなの!真紘!付き合って!」
もちろんこれも、私ではなくて彼女が言った事。
「ちょ、何言って……」
「私真紘に本気なの!真紘が本気じゃなくても!だから、もう一回契約して!」
ハァハァと息を切らせながら言う彼女を、私は見つめた。
胸が痛い。
今この子、真紘にキスした。
私が言いたかったことも、先に言ってしまった。
私は……
「契約は出来ないよ」
そういって私をチラッと見る真紘。
「何で!?…もしかして、この女が原因?」