契約恋愛
好きだ
スゥと息を吸って一歩踏み出したとき、後ろから誰かに抱きつかれた。
「美鈴…」
「…真、紘?」
振り返って顔を見ようとしたけど、ギュッと抱きしめられてて動けなかった。
「美鈴、俺の話聞いてくれる?」
「うん……」
コクッと頷くと、真紘は抱きしめてる腕の力を弱めて私を自分のほうにくるっと向けた。
「俺とさ、初めてあった日覚えてる?」
「覚えてるよ」
2年前、私が振られて泣いてたら真紘が来たんだよね。
「あの時最初は、いいカモがいるってぐらいにしか思って無くてさ……でも美鈴の顔を見たら、この子のためにやってあげたいなって思った」
「うん」
「でも、金取らないでやるにはどうしたらいいか分からなくてさ。結局金取っちゃった」
「うん」
「あの後後悔したよ、何で金取っちゃったんだろうって。だから、ハイ」