2番目の―女―



内勤の人が送り指名を誰にするか、聞いてきた。


名刺の中から適当に選ぼうなんて最初は思ってたけど、隣に居る龍を送り指名にした。



龍はそれを知った時すごく喜んでくれたね。


今でもあの笑顔、忘れてないよ。



「…俺、送りもらったの初めてなんだ」


「……えぇっ?本当に?もしかして新人君?」


「…あはは、優美気付いてなかったの?」



龍は照れ笑いしながらスーツに付いてある名札を見せてきた。


DEAR 龍

そう書かれている。



…で?名札が何なの?




「優美は名札が何で付いてんのか知らないか。名札って、新人君とかナンバー入ってない子とか、ノルマ達成出来てない子が付けるもんなんだよ。」


「……全く名札なんて気付かなかったよ」


「だろぉね。ほら、空斗は付いてないでしょ?」



あたしは店内を見渡し、空斗を見つけ、スーツを見ると確かに名札は付いてなかった。



「……厳しいんだね。ホストも色々と…。って!ならあたし龍の初送りもらっちゃったの?!」


「…そうですよっ(笑)優美ちゃん、ありがとう」


「龍良かったね♪」



今日で大分ホストの事知れた気がするな


空斗があたし達の席に来るまで他愛ない話して盛り上がった。



空斗がお客さんの送りを終えて、最後にあたし達の席にやってきた。


「今日は二人ともありがとうございました♪僕めちゃ楽しかったよ!良ければまた来てね。」


「来るよぉ♪」


愛は笑顔で答え、荷物を空斗に渡すと二人は店を出ていった。



あたしと龍も二人の後を追い、お店を後にした。




「優美ちゃん、連絡先教えて?」


「…ぅん。なら後でメールしてね」


赤外線であたしの連絡先を送り、愛とお店の前でタクシーに乗り込んだ。


「二人ともありがとーう!お休みなさぁい」


龍と空斗はあたし達がタクシーに乗り込んだ後も大きく手を振りながら喋っていた。




……元気だな。


あたしは初めてのホストクラブから帰宅した。


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