あの夏の日
私たちはサーフショップに、



帰ることにした。



二人きりでいると、



一線をこえてしまいそうで、



それに何より



かいとのパパを



一人にしてはいけないと



思ったから。



『お帰り、かいと。』



そして私を見て、



変わらぬ笑顔を向けた。



『よく来てくれたね。君に渡すものがあるよ。』



かいとのパパは、そう言うと



一枚の写真を渡した。



それは私が、



あの日駐車場から



かいとのいる海を見た



あの瞬間だった。



目が合ったのはかいとではなく、



カメラのファインダーだった。



「なぜ、私を?」



『それは…』



説明しようとするパパをさえぎり


『ぼくが頼んだんだよ!』



かいとが言った。




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