―黒蝶―
プロローグ
ジャリ...ジャリジャッ...
足を踏み入れるたびに音がする。
砂利の音が何故だか心地よい…
「ぐはっ…っぅ」
「やめてくだっ…うぁっ!」
「すいませんでしたっ…そうちょ…」
砂利の音以外に聞こえるのは、むさ苦しい男の悲痛な叫び。
アタシは知らないふりをする。
「オイ、七瀬。コッチこい」
「何で」
「七瀬もなんか言ってやれ」
…めんどくさっ。
でも、声に出したら怒るな。