―黒蝶―
「…え?」

蓮の顔が近づいてきた。


ヤダ…

さっきと同じ光景。

再び記憶がアタシの脳裏に浮かぶ―



「ヤダッ!!」



気づいたときには蓮を突き飛ばしていた。

蓮は驚いた表情を浮かべ、アタシの元へ歩み寄ってきた。



「ヤダッ!来ないで!」


蓮はそんなのお構いなしって感じで、アタシの腕を掴み、自分の胸へと収めた。




小刻みに震える身体…

自分でもわかる、蓮にまで恐怖感が芽生えたのが―


「七瀬…どうしたんだよ、何が…」


その時、蓮を呼ぶ声が聞こえた。


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