―黒蝶―
「…七瀬っ」


ふと彼の手が止まる。

アタシは乱れた服を戻し、彼の様子を伺う。

すると、彼の目から涙が零れた。



「何で俺じゃダメなんだよ、何で敵…」



―敵。




そう、アタシたちが普通に愛することを許されないのは、敵だから。



敵同士は愛し合ったらいけない。

それは、チームの裏切りをしめす…



蓮はアタシから離れると、



「絶対お前を奪う」



そう言い放った。そして、朝日を背に向けて去っていった。



―アタシは知らなかった。この光景を、浅田 緑が見ていたなんて…
< 74 / 150 >

この作品をシェア

pagetop