マスタード

「前から思ってんねんけどあの子、めっちゃ気強そうやんな。大地付き合ってんの?」


隣にいる恭平がそう言った。
大学に入ってから仲良くなった恭平は大阪から上京してきた、コテコテの関西人である。


『あぁ、七星ね。付き合ってねぇよ。』


「へ~。普通にかわええのに性格きつそうやもんなー」

『ま、実際我が儘で気強いし。』


「なんや、優しい大地君にしては庇わへんのか。珍しい。」


『だって七星隠そうとしてねぇからな。』


ガハハそりゃおもろい奴や。と品のかけらもなく笑う恭平を横目に席を立つ。

『じゃ、行くか。スタジオ5時から入れてるから。』


「ん。ライブ近いしなー。追い込みやで。」


そう言って伸びをしながら前を歩きだす恭平はバンドのボーカル。
目立つことが大好きな奴は金髪で長身でイケメンときた。
廊下を歩くとひと際目立つ。さすが関西人の血。だろうか。



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