With you
「……ずいぶんあっさりだね」
「…まあね」
「………決心したの?」
「した」
ガチャッ。
佐々木莉奈のポケットの中から音がして、何かと思って見たら。
取り出されたのは小さな録音機。
「これで、契約成立。さっきまでの会話は録音してあるから。今更怖じ気づいても断れないからね」
…悪どい。この女。
「……アンタって…腹黒いね」
「そお?…でもまあ、あたしが言うのも変だけど、歩夢ちゃんがそんなに簡単に利用されてくれるとは思わなかったな」
「…そーだね。アンタが言うのはおかしいよ。張本人のくせに。それに、あたしはアンタに利用される覚えは無いから。アンタのためじゃないし」
「どう思おうと勝手だけど、あたしは決して感情にまかせてアイツを追い出そうとしている訳じゃないから、歩夢ちゃんもあたし達に協力するんだから勝手な行動はしないでね。ね?」
何が「ね?」だ!
…って、あれ?
あたし達?
「…脳の端っこにでも留めておく。それで、なんであたし達なの?アンタだけじゃないの?」
「この計画には、兄も参加してるからねー」
「……へえ…お兄さんがいるんだ…」
「うん。着いたら紹介するね」