With you
そして、30分後。
あたしと佐々木莉奈を乗せた車は豪邸--佐々木莉奈の家--にたどり着いた。
「お帰りなさいませ、莉奈様。そちらのお嬢様はどちら様でしょうか?」
「ただいま、聖良さん★この子はねぇ…歩夢ちゃんって言うんだよ」
「そうですか。歩夢様、是非ごゆるりと」
「…は、はぁ……」
聖良(せいら)さんと呼ばれた人は佐々木莉奈の家の使用人なのかな…。
……すごいなぁ……。
無駄に馬鹿でかいエントランスを抜け、佐々木莉奈の後について階段を上る。
そして一番奥の部屋まで行って、ドアをノックした。
「兄さん、莉奈です。入るよ?」
「…ああ」
中から低くくぐもった声が聞こえてきた。
部屋が広すぎてここまで声が届かないのではないかと、ふと思った。
ドアを開け、入った先にはやはり広くて豪華な部屋。
そして長身の男が奥のソファーにたたずんでいる。
「兄さん、この人が歩夢ちゃんだよ」
「こんにちは、歩夢ちゃん」
「…こんにちは」
「俺は莉奈の兄の大樹です。よろしく」
これが、運命の出会いだとは、この時のあたしは知るよしもなかった・・・。