With you


「じゃぁ、まず母さんに報告しに行こう?」



「うん…。彼にすっかり騙されてるから信じてもらえるかは分からないけどね」



「そうかも…しれないな」



「…まぁ、歩夢ちゃんのことはあたし達、興信所の調査で知った…つまり、母さんは歩夢ちゃんのこと知らない。だから歩夢ちゃんを連れて行ったら何とかなるかもしれないよ?」



「…その可能性は低いと思うなぁ…ほら、やっぱり母さんは何を言おうと、彼に惚れてるから」



「でもまぁ、目的は母さんのあの男に対する信頼をなくすための事前報告、でしょ?」



すごい。


この2人は感情を交えずに憎んでいる相手のことを話している。



許せない、ってただ感情的になってたあたしとは違う。



冷静に、そして客観的に物事を見ている。




「……ゆむちゃん……歩夢ちゃん…?」



「え、あ…ごめん、ぼーっとしてた」



「うん。それで、悪いけど明日は学校休んで、あたしに付き合ってもらっていい?」



「え?」



「母親への報告。歩夢ちゃんにも来てもらうつもり。で、今日はもう遅いから、あたし達の家に泊まっていって?部屋と食事、お風呂は用意するから」



「…うん、分かった…」



家に帰っても、誰もいないしね。






…………でも。
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