With you
「Dear 歩夢ちゃん
母親が仕事から帰ってきて、今家の中にいるので、見つからないように気をつけて!
食事は部屋に運ばせます。バスルームやレストルームも部屋についてるはずだから。
何かあったらベッドの近くの壁に設置してある受話器の内線4番を押して俺を呼んでね。
俺でまずいことだったら内線5番を押して莉奈を呼んでね。
それでは
Take care.
From 大樹」
男らしくない、丁寧で綺麗な字。
まるで印刷したみたいに整っている。
ベッドに寝転がり、考える。
「今日1日、いろんなことがあったなぁ」
…でも。
最初はびっくりしたけど、佐々木莉奈達に会えて良かったと思う。
あたしはあの憎くて憎くてたまらない父親の悪行を暴いてせっかく手に入れたお金持ちの生活を奪い取ってやる。
なんて素晴らしいことなのだろう。
復讐、したかった。ずっと、ずっと。
ポケットから一枚の写真を取り出す。
そこに写っている幼い女の子に向かって、そっとつぶやいた。
「裕理…アンタを見捨てたアイツに…復讐するからね!」