With you
作戦その1

次の日、あたしを起こしたのはいつも枕元においてあるジリジリと不快な音をたてる目覚まし時計ではなく、使用人からのモーニングコールだった。



鳴り響いたメロディーはクラシック。


遁走曲のような感じがしたからおそらくバロック時代のモノだろう。




「おはようございます。この電話はモーニングコールでございます。ご気分はいかがですか?」



「え、はい。おかげさまで。ありがとうございます」



「いえいえ。それで、朝食は莉奈様のお申しつけで、お部屋に運ばせて頂くことになっておりますのでご了承ください」



「あ、はい、お願いします」



「それでは、失礼いたします」




はぁぁー。



昨日の夕食を思い出す。


確かフレンチのフルコース、のようなモノだった。



あんな豪華なモノが今日も出るのかなぁ…。


おなかに入りきらないよ…。



かといって残すのは失礼だし……と言うことで昨日全部食べきったあたしはかなり太っただろうなぁ……。






♪~♪♪~♪~


「あれ?」


電話機がまた、さっきの遁走曲を奏で出す。



受話器を取り、言った。


「…もしもし?」


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