With you
「…ひどいなぁ、そんなに老けて見える?」
「え、そんなことはないですけど……」
「ま、それは置いといて、だから今日はよろしくね?」
「はい!」
「じゃぁ、行くよ。作戦その1、決行する!」
「「おーっ!」」
そしてあたし達は、大樹先輩達の母親のところに向かった。
コンコン。大樹先輩がドアをたたく。
「……どうぞ」
「母さん、失礼します」
「失礼します」
2人が部屋に入っていき、あたしは扉の前で大樹先輩に呼ばれるのを待つ。
「母さん、今日は折り入って話があります」
大樹先輩の声が聞こえてきた。
「…いったい何?疲れているんだけど」
このちょっとかすれ気味の声が、あの2人の母親の声か…。
「…疲れているのはあの男のせいですか?」
佐々木莉奈がそう言って、その後一瞬の静寂がおとずれた。
そしてその静寂の後聞こえたのは彼女の怒鳴り声。
「口を慎みなさい!何度言ったら分かるのです!あの人はあなたたちの父親ですよ!」
耳をふさぎたくなるくらい大きな声だった。ここが大きな豪邸でなくあたしの家ならば絶対に外まで聞こえていたはずだ。