With you
話が一通り終わった後。
彼女の顔は限界まで青ざめ、体はブルブル震えていた。
「……っ…嘘でしょ?そんなの……?!嘘でしかないわ!嘘だと、言いなさい!」
椅子から崩れ落ちて情けなくあたしを見上げる彼女にあたしはこう言った。
「…全て、真実です」
……まるで、死刑宣告をしたような気分だった。
そして彼女は泣き叫んだ。
「あああぁぁぁあああああああぁあぁあああああぁ!!!」
「母さん、激高しないでと言ったでしょう?」
非情にも佐々木莉奈は感情を一切見せずに上から彼女を見下ろし、言った。
「莉……奈……ぁっ!」
「母さん、あの男はその上、浮気もしています。しかも何人もと」
「それから、恐喝や麻薬の密売もしています。つまり、犯罪行為を犯しているのです」
「浮気…犯罪…?!」
「はい」
「なん…で……裕哉…さん…私はこんなにも愛しているのにっ!…愛しているのにぃっ!!」
そしてまた泣き叫ぶ。この細い痩躯のどこからこんなに大きな声が出るんだろう、と不思議に思った。
「非情な事を言うようですが、あの男が関心を持っているのは母さんでなく、母さんの財産なのです」
大樹先輩がそう告げ、さらに佐々木莉奈が言った。
「私たちはこれを全て白日の下にさらし、あの男に法的制裁を与えるつもりです」