With you

「反対は、受け付けませんが、一応私たちの親権者である母さんに事前報告をしておこうと思って」



「それでは、失礼します」



「失礼します」



泣き崩れている彼女を置いて、私たちは部屋を出た。



これで作戦その1は完了だ、と安心しながら、これは普通の母子の関係じゃないなぁ、と心の隅で思っていた。



「あ、歩夢ちゃん、そう言えば…これ!」


部屋に戻り、3人で集まったとき。


佐々木莉奈が何か包みを渡してきた。


「何?これ……」



包みを開けるとバッグが入っていた。



「え?…これって…『nAy』のバッグ!?」



やっぱり、お金持ちなんだなぁ……。


「nAy」というのは最近できた高級ブランドで、デザインがおしゃれな上に奇抜で、種類も多様なので、とても人気だ。


ただし、あたしのような学生にはとても買えない値段なので、見て憧れるだけだった。



「うん。歩夢ちゃんにあたし達からのプレゼント!」



「え?あたしに?…あたし別にプレゼントもらうようなことしてないよ?!」



「……その、言いにくいんだけどね、前、あたし歩夢ちゃんを無理矢理引っ張って連れてきたから歩夢ちゃんのバッグ学校に置いたままでしょ?」



「あ、そういえば……うん、そうだったと思う」



「それで、もうあと5日くらいで夏休みだしさ、この家に泊まるとしてもやっぱりいろいろ入ってるから必要かなぁと思って昨日、SPに取りに行かせたんだけど」



「うん、それで?」
< 26 / 33 >

この作品をシェア

pagetop