With you
Trrrr…
部屋の電話が鳴り響く。
電話、取ろうかな…?
あれ、でもここって大樹先輩の部屋だからこの電話って大樹先輩にかかってきた電話かな…?
…あの2人のどっちかがあたしにかけたのかな?
どうしよう…出ようかな……。
ガチャッ。
あたしは逡巡の末、受話器を取った。
「はい、もしもし…」
「あら、莉奈ちゃん?私…牧田ですけど…大樹くんはいらっしゃらない?」
どうやらあたしのことを佐々木莉奈だと勘違いしているようだ。
…本当のことを言った方がいいのかな…?
「莉奈ちゃん?…どうしたの?」
「っ少々、お待ちください」
保留ボタンって…コレだよね…?
♪~♪♪~♪~♪♪~♪♪♪♪♪~
よしっ……。
部屋の隅に移動して、携帯で佐々木莉奈に電話をかけた。
佐々木莉奈は2コールで慌てて出た。
「どうしたの…何かあった?!」
「あ、違うんだけど…莉奈ちゃん、牧田って人知ってる?」
「…ええ。それがどうかしたの?」
「さっき電話が来て、2人のどっちかがあたしにかけてきたんだと思って出ちゃったんだけど、その人があたしのこと莉奈ちゃんだと勘違いして大樹先輩が家にいないかって聞いてきたんだけど…」