ホタル

「でも…裕太、彼女…」
「彼女？」
「彼女…裕太、だって、高校生の…」

こんな時に限って、冷静な疑問が口をつく。本当は今、そんなことどうでもいいのに。

「…彼女じゃないよ」
「え？」
「朱音の代わりだった。向こうもそれを承知だった。…そういう関係だった」

耳元に響く裕太の苦笑。

「…最低だろ？」

何度考えただろう。誰かに抱かれる度に、これが裕太だったらと。赦されない思い。最低な思い。裕太も同じ罪を抱えていた。

「裕太…」

最低だよ。あたし達二人、最低だ。わかってるよね、そんなこと。誰に言われなくても、自分が一番わかってる。

でも。

「…好き」

止まらない。抑えられない。わかっていても、もう戻れない。

「好き…裕太」


衝動、だった。突き動かしているものは、全て。