ホタル


そっと裕太が離れた。

涙で濡れたあたしの頬を優しく拭う。

揺れる瞳を捕らえた裕太は、落とすように小さく微笑んだ。

あたしはこの微笑みを、一生忘れない。


「…一緒に地獄に堕ちよう」


今拭った頬に再び温かい涙が伝った。
でももう拭うことはしなかった。

ゆっくり裕太が近づく。
あたしは瞼をそっとおろした。


一筋の光が、消えた。




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