ホタル
…あのさ、裕太。
あの時あたし達が下した決断は、多分間違えてなかったと思うんだ。
どんなに願っても、どんなに抵抗しても、あたし達の望む幸せは赦されないものなの。
それをわかってて犯した罪だったから、あたしはひとつも後悔なんかしてない。
裕太を全身で好きになったこと、何一つ後悔なんてしてないよ。
あの日裕太が言った『愛してる』の一言。
あたしはそれを糧に、今まで生きてきた。
でもね、裕太。
やっぱりその『愛』を、あたしはまだ口にすることができないよ。
あたしは多分、まだあなたをきちんと愛せない。
それは多分、まだあなたが好きだから。
狂おしい程に、あなたが好きだから。