ホタル
エピローグ
……………
それは静かな夏の終わり。
季節外れの小さな光が、ゆっくりと穏やかに飛び終えた。
窓際で揺れる儚い光。
誰かが見れば、それはあまりにも呆気なくて。
あまりにも、寂しくて。
でも本当のことは、誰も知らない。
この光が、どれだけ懸命に生きてきたかなんて。
どれだけ幸せに生きてきたかなんて。
消えかかる光は暖かい。
生まれてよかったと心から思う。
そっと優しく光は終わる。
それは誰も知らない。
誰も知らない、恋物語。
【fin,】